おじさんの一人旅

伝説の大亀

ハノイはとても水に恵まれた都市で東にホン川（紅河）があり北には巨大なタイ湖がある。街の中には大小２０もの湖が散らばっていて市民の憩いの場所になっている。なかでもこのホアンキエム湖はハノイの人にとっては特別な存在だ。
そのわけのひとつは亀の伝説である。この湖に住む亀から剣をもらった黎朝（れちょう）の始祖レ・ロイが当時の支配者の明（みん）を破った。その後、レ・ロイが湖で遊覧していた時、突然黄金の亀が出現し、「国が平和になったので、神に宝剣を返して欲しい」と告げて、瞬く間に宝剣を口にくわえて湖底に帰っていった。この伝説から、「Ho Hoan Kiem（還剣湖）」と呼ばれるようになった。
小学校の歴史教科書にも載っていて、ベトナム人の誰もが知っているこの伝説も、ベトナムの抵抗の歴史の一旦だろうか。
(1999.02)